代表鈴木孝枝のコラム 「北欧デンマークは新入社員に先輩社員が新しい知識を学ぶ」 | 2014/5/31 |
世界一幸せな国、かつ「労働先進国」北欧デンマークにおける
「新入社員」の職場での即戦力活用ついてご紹介します。
話しを始める前にまず、日本のよくあるパターンを見てみましょう。
一般的に入社をすると、新人研修や早期教育後、
現場や工場などのオペレーションを一通り学ぶため
配属後OJTが開始されるのが通例ですね。
この時、指導側においては、
「学校で技術や新しい経験を学んで来たかもしれないが、
まずは会社に入ったらウチのやり方で仕事をしよう」 という考えがあると思います。
一方、新人側は理論と実践が一本のレールの上に連なっていないと、
「学んだ時間」と「実践の時間」は全く別物
という認識になってしまうことがままあります。
あなたもこんな経験がありませんか?
「高校の時に必死で単位を取った微分積分。社会に出て役に立ったことってあまりない・・・」
「資格を取ったはいいけれど、配属先が全く関係なくて、何の役にも立たない・・・」
職人の世界では少ないかもしれませんが、
社会人になってから多くの方がこんなことを思った時があるかもしれません。
さて、北欧デンマークではこのようなミスマッチが起きないように、
学校で学んだことが、社会に出たときにすぐに即戦力となるように
教育制度が組まれています。
中学校インターン制度もあり、中学時代に全学生には
私は何になれるだろう?(HVAD KAN JEG BLIVE)」という
広辞苑のように分厚い本が配布されます。
そこには、デンマークで就くことができるすべての職種が掲載されており、
どのような資格、どの様な教育課程を経れば就職可能か、
初任給とともに明記されているのです。
高校、大学進学はいわゆる士業や師業と呼ばれる職種に
就きたい人のみが選抜進学し(実は結構難関)、
学生の多くは、なりたい職業に就くための
「職業別専門学校」へ進学を決めていきます。
大学全入、という考えはデンマークにはありません。
この職業別専門学校の教育過程は3年~4年と幅がありますが、
たとえば、ある職種が3年間カリキュラムの場合、
座学1.5年、実践1.5年などと必ず「現場実践期間」が設けられており、
現場で学んだことを実体験してから社会人デビューとなります。
すなわち、就職後すぐに即戦力となるのです。
しかも、座学も実践も、官民一体になって
最新の技術や理論に常にブラッシュアップされているものばかり。
そのため、普遍的な理論に関しては、
その職に就けば誰でも理解しているものとして、会議上でもどんどん机上にでてきますし、
新人も、内容を把握しているため活発な議論が可能です。
そして何よりも、「実践」に関しては、
職場にいる先輩社員が、新入社員に最新の技術を学ぶスタイルが浸透しています。
そのため、社内では先輩社員が新入社員に学ぶ勉強会などが
この時期盛んにおこなわれています。
学校で新しい理論と実践の組み合わせを学んでいるのは
新入社員が一番情報を知っているからです。
ここには、「縦の関係(上司部下)」を重視するより
「横の関係(同じ職種の仲間)」を重視する
デンマークの労働文化が機能しているとも言えます。
あなたの会社や部署では、新入社員から学ぶ姿勢はありますか?
「今の若い人は・・・」なんてため息をつく前に、
彼らが何を学んできたのかを
対話を通して聞く時間を設けてみるのもいいかもしれませんね。
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