代表・鈴木孝枝のコラム 「現在の人財育成に山本五十六訓はまだ有効か」

 2014/5/1

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「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。」

 

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

 

人財育成をしている人ならば、1度は聞いたことがあるだろう、山本五十六訓です。

今日は、この教訓は現在の人材育成に今だ有効なのか?というお話。

人材育成、また、研修導入に対しては、

その導入・選別側において様々な意見を伺っています。

・誰にでも平等に教育・研修を受ける権利を与えれば、育てることが出来る

・個別に対応していけば、個々での成長は期待できる

・階層別研修を導入すれば文化・風土が継承できる

・選抜研修であれば、費用対効果を期待して研修を導入してもいい

・人は既にのびしろが決まっているので、教育・研修しても育たない人もいる

・全員同じような研修をしても、効果があるのは参加者の10%程度だ

・費用対効果をあからさまに期待して、研修を導入するのは難しい

さて、では実際に受講側、いわゆる現場の皆さんからは、

どのような声が持ち上がっているかと言うと、

・自分のスキルアップや啓発になり、新しい学びを受けられて楽しい

・学んだことを現場に持ちかえってやってみたい

・現場に持ち帰っても、共通言語がなかったり、理解に差があり継続的に使えるは課題

・研修を受けても上司が研修効果を期待していないので現場導入には至らない

・人事が求めていることと、上司が求めていることにGAPがありすぎ

・仕事が忙しいのに、研修を受けねばならず、さらに仕事が溜まる

などなど。

上記のように人材育成側のイメージと、参加者のイメージを比べてみると、

少しかい離がみて取れます。

教え方には大きく、OJT・OFFJTという考え方がありますが、

最近は区分が出来なくなってきているのが実際のところなのではないかと思っています。

なぜなら、これからの変動の時代をドライブするには

今まで当たり前だったパッケージもの、

今までのやり方だけを踏襲しているだけでは、上手くいかない・・・

という壁にぶつかるケースが多いからです。

さて、いま、あなたが育てなければならない人材とは、

一体どういう人なのでしょうか?

幹部候補?中間管理職?中堅社員?新入社員?

立ち位置や役割において、相手の数は増減しますが、

私自身が感じているのは「個別対応」の重要性です。

実際に人材育成をする際、

「先にスキルを●●研修で入れて、ノウハウは現場でやる」

のが上手く当てはまる人もいれば、

「一度本人と落とし所を決めて、ノウハウを先に教えてから●●研修に入る」

というのが上手く当てはまる人もいて、

個別対応見定めが教える側には必要になってきている気がします。

会社が継承したい文化や風土といった「ベース」の部分は、

ティーチング方式でしっかりと学び、習得してもらう。

そして、伸ばしたい相手の役割に応じて、持っている能力を見定めて、

自分が得意とする才能を使いながら個別に対応していくのが、

これからますます大切になると思っています。

「あの課長・マネージャーにつくと、本当に仕事が楽しい」

と言ってもらえる、自分らしさも、こういうところで出てくるのでは?

『個別対応なんてしてる暇はありません!』なんて、声が聞こえてきそうですが、

最近は『教え方が悪くて、理解できません!』という声が部下から普通に上がってくる時代。

日々仕事に追われる中で難しい話しです。

とはいえ、私は、人材育成に

「このやり方で教えれば、人材育成が出来る」という方程式は、存在しないと思っています。

だからこそ、ここで登場するのが山本五十六訓。

私はこの訓、3つの段階で見ることが出来ると思っています。

まずは、新入社員を例に、下記のように育成段階で照らし合わせながら

一般的なとらえ方としてスクリーニングをしてみるのがいいように思います。

■新入社員・中途社員の初期段階では、

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。」

その人の仕事に対する姿勢や成長度合いを見る。

3か月たっても一向に仕事や反応が鈍く、いわゆる出来ない人は、

あなたの育成方法では難しいでしょう。

■半年以降、1年経った社員には、

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」

人は伸びよう!と覚悟が決まっていれば大体、6カ月で行動変容します。

が、気持ちが続かずダレてくるのもこのあたり。

ですので、その人に訪れる、または与えた環境変化で、謙虚さ、柔軟性を見る。

特に応用が効かず、自分で考える想像性がみてとれなければ、

今のままでは伸びないかもしれません。

■2年目以降は

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。



まず、この関係性を1年で相互で作れるかどうか。人は必ず何かで失敗しますから。

そして、自分とは違う考えを持っていることを自覚して、

いい距離感をとりながら客観的にその人を見抜き、

伸ばす能力を見定める力が必要です。

さて、山本五十六訓は、まだ有効か、ですが、

私、個人的には、「個別に意味をとらえ直して使うと効果的」というのが結論。

とはいえ、日本人が大切にしてきたものですから、

時代に合わせ、自分らしく変容させて使っていきたいですね。

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